漢方薬を服用する方には是非知っておいてほしい重要な用語をまとめました。
目次
陰陽(陽陰証、陽陰病)
陽証(ようしょう)、陰証(ようしょう)という場合は、病気の状態(病態)を示します。陽証の患者は、活動的で、発揚性、熱性で外部に現れる傾向があります。顔は赤く、脈は浮であることが多いです。
一方、陰証の患者は、静的で、沈降性、寒性で外部に現れる傾向があまりありません。
陽病(ようびょう)、陰病(ようびょう)という時は、病気の時期(病期)を示します。陽病は体の反応力が十分ある時期、陰病は反応力の低下した時期を示します。
瘀血
瘀血(おけつ)とは、血液の循環障害と類似した態と考えられます。
全身を正常にめぐるべき血液が屈所にうっ滞して病的な状態になるという概念です。瘀血の症状としては、下腹部痛、肌荒れ、皮膚のしみ、月経異常などがあります。
現代医学的には、血管の閉塞性病変である脳梗塞や心筋梗塞、打撲、外傷、皮下出血、腫瘍、高脂血症、子宮内膜症、子宮筋腫などの疾患が瘀血に関係があると考えられています。
気
気(き)とは、形がなくて動きのあるものです。気とは「生きる活力」とも言い換えられます。
気虚
気虚(ききょ)は、気、つまり「生きる活力」が少なくなる状態のことで、元氕のない状態のことです。
例えば、疲れ易い、言葉に力がない、脈にも力がない状態は気虚といいます。
病態として理解されます。気虚の時には、朝鮮人参を主薬とする気を補う漢方薬が治療に用いられます。
気滞
気滞(きたい)とは気のめぐりが悪くなった状態のことです。
気が喉のあたりに停滞して、 喉が詰まっている感じがすることがあります。また、あぶった肉片が喉につかえている感じとも表現されます。
気の上衝
気の上衝(じょうしょう)とは、気のめぐりが障害されて、気が上に衝き上がって、「のぼせ」、「ほてり」の症状が起きてくることを言います。桂枝の配剤された桂枝加桂湯や苓桂甘棗湯が用いられます。
胸脇苦満
胸脇苦満(きょうきょうくまん)とは、季肋部に充満感があって苦しく、按圧(指などで押す)すると圧痛や抵抗があることを言います。
虚実
虚実(きょじつ)は実証と虚証のことです。
実証(じっしょう)とは体力が充実した状態を言い、治療には瀉剤(病気を攻撃する薬) を用います。
虚証(きょしょう)はその反対で体力が落ち込んで弱い状態を言います。治療には、虚証は補剂(体を補う薬)を用います。
血
血(けつ)とは西洋医学的でいう血液とほぼ同じと考えてよいものです。
血虚
血虚(けつきょ)とは、出血や血の生成障害により血が足りなくなった病態で、めまいや顔面蒼白などの症状があります。
厥陰病
厥陰病(けっちんびょう)とは陰証で最も重篤な状態で、重篤な冷え、下痢、嘔吐、発汗、ロ渴、多尿、気が心を突きあげる、胸の中が熱く疼くなどの症状を有する病気です。
傷寒
傷寒(しょうかん)は急性熱病の初期で、汗がなく、悪寒、体痛、吐き気があり、脈が多いものです。現代のインフルエンザなどに相当する疾患です。
少陰病
少陰病(しょういんびょう)はただ寝ていたいという症状があり、身体が冷えて下痢をする病気です。
少陽病
少陽病(しょうようびょう)は口が苦くなったり、喉が乾いたり、めまいがする病気です。
水
血液以外の体液のことです。津液ともいいます。
水毒
水毒(すいどく)は、病的な体液(血液以外の)の偏在によるものです。具体的な症状としては、浮腫、うっ血性心不全、胃下垂、腎炎、胸膜炎などがあります。
心下痞
心下痞(しんかひ)とは心窩部(みぞおちのあたり)がつかえるという症状のことです。
心窩部がつかえて板のように堅く弾力がないものを指す心下痞堅(しんかひけん)、心窩部がつかえて抵抗感のある心下痞鞭(しんかひこう)などがあります。
太陰病、太陽病
太陰病(たいいんびょう)は腹満、嘔吐、下痢、腹痛などの症状がある病気です。
一方、太陽病(たいようびょう)は急性熱病の初期で、脈が浮で頭や後頸部が強ばって痛みを伴い、悪寒がする病気です。風邪の初期によく見られる病状です。
脱汗
脱汗(だっかん)は大量に発汗して汗が止まらなくなった状態をいいます。麻黄湯などの発汗剤の誤った使い方によることが多いです。
中風
中風(ちゅうふう)は太陽病の虚証(体力が低い人)で、発熱、発汗、悪風、脈緩の症状があることをいいます。
沈脈、浮脈
沈脈(ちんみゃく)とは、軽く圧迫して触れにくく、強く圧迫すると脈がよく触れる脈のことです。
浮脈(ふみゃく)とは、軽く橈骨動脈(手首ののあたり)に触れてよく脈が触れることができ、指に強く力をいれて、橈骨動脈を圧迫して橈骨にまで到達する位置で、脈が触れにくい脈のことを言います。浮脈は、病気が身体の表面に存在することを意味します。
腹皮拘急
腹皮拘急(ふくひこうきゅう)とは左右の腹直筋が緊張した状態を指します。
陽明病
陽明病(ようめいびょう)とは便秘、腹痛、腹満、口の渇き、大量の発汗、腹力は充実して腹部膨満する病気のことです。