清心蓮子飲(せいしんれんしいん)は上盛下虚という症状を改善し、体力が衰えた人の泌尿器系の慢性疾患などに効く漢方薬です。
上盛下虚(じょうせいかきょ)とは、上半身が実証なのに下半身が虚している(腎虚)というバランスが悪い状態です。
下半身が虚しているために虚火(虚熱)が上半身に上昇して熱証を呈します。慢性的な体調不良を抱えながら生活や仕事を続けているによく見られる症状です。
清心蓮子飲は、その虚実のバランスを調整するのが特徴の漢方薬です。
目次
清心蓮子飲はどんな人に効果がある?
清心蓮子飲は、胃腸が弱い人に適応が多く、舌や口が乾き、冷えを感じることもあります。また、不安や不眠など精神症状のみられることが多く、神経質なタイプの人によく利用されます。
男性の性的な障害(インポテンツ、遺精など)にも利用されます。枝如竜骨牡蛎湯で効果がない場合に利用されます。
清心蓮子飲は、「気陰両虚、心火旺」証を改善する処方です。
人体に必要不可欠な構成成分は、気・血(けつ)・津液(しんえき)です。気を陽気、血と津液を陰液と呼ぶこともあります。この陽気と陰液の陰陽バランスが整っていると健康体でいられるが、バランスが崩れると、体調不良や病気の根本原因になります。
気虚は、陽気が不足している体質を指す。消化吸収機能をはじめとし、全身の機能や興奮性が低下しているような状態です。元気がない、疲れやすい、無気力、手足がだるい、食欲不振などの症候を伴う。
一方、陰液が不足している体質を、陰虚といいます。体液が不足しているので、乾燥や脱水が生じます。
陰虚証になると、体液の不足により、相対的に熱証が強くなって表れやすい(陰虚火旺[いんきょかおう])。これは全身の抑制性が低下して相対的に興奮性が高まっている状態で、自律神経系の興奮や異化効果の亢進が生じている状況に等しいといえます。
陽気と陰液は陰陽互根の関係で密接につながっており、一方が不足すると他方も不足しやすく、両方が不足する状況が生まれやすくなります。
この気虚と陰虚が同時に存在する証が「気陰両虚」です。興奮性の低下(気虚)と亢進(陰虚)が混在する状態です。
陰虚により生じた熱邪が上昇し、五臓の心に至ると「心火旺」証になります。この証になると虚熱が生じるので、いらいら、焦燥感、不眠、多夢、不安感、のぼせ、ロ渴、喉の渴き、口内炎、唇の乾燥、胸部の苦悶感、動悸、微熱、午後からの熱感、手のひらや足の裏のほてり、寝汗などの症候が表れます。
泌尿器・生殖器系においては、脱水による尿量減少や濃縮尿、排尿痛、尿の濁り、血尿、または自律神経系の緊張による頻尿、残尿感、さらに脳の興奮性の過剰による遺精、そして気虚による固摂効果の低下が原因で生じる出血(気不摂血きふせっけつ)の不正性器出血などが見られます。
この漢方薬を使う主な症状
清心蓮子飲は、胃腸が弱く、全身倦怠感があり、口や舌が乾き、残尿感、頻尿、排尿痛、尿のにごり、排尿困難、こしけ(おりもの)、過労で尿が濁っている慢、慢性的な頻尿、残尿感、白濁したようなおりものなどが清心蓮子飲を使う症状です。
清心蓮子飲を使う主な症状は、気陰両虚、心火旺の症候を現わす以下のようなものです。
自律神経失調症、不眠症
更年期障害
高血圧
口内炎
膀胱炎や尿道炎などの慢性の尿路感染症、膀胱神経症などの神経症
前立腺炎、前立腺肥大症
腎盂腎炎
アトピー性皮膚炎
花粉症
気管支炎
糖尿病
清心蓮子飲の処方
清心蓮子飲の配合生薬は、
①蓮肉
②麦門冬
③黄芩
④地骨皮
⑤人参
⑥黄耆
⑦茯苓
⑧車前子
⑨甘草
の九味です。
君薬の蓮肉(蓮子)は心火を清め(清心)、腎陰を補います(益腎)。全身を水で潤して脳の興奮性を鎮める効果があります。遺精を止める働きもあります。
臣薬の麦門冬は陰液を補い(滋陰)、体液を潤して熱を冷まし、異化効果の亢進を鎮めて消炎解熱する効果があります。
他は甘草以外佐薬で、黄芩は熱証を冷まし(清熱)、鎮静、降圧する効果があります。地骨皮も清熱しますが、こちらは虚熱を冷ます力が強いです。人参は気を補い、脾の機能を高めます(補脾益気)。黄耆も脾胃の機能を高め、気を補う効果があります。人参と黄耆の組み合わせにより、補脾益気の力が強まります。茯苓は脾の機能を立て直して湿濁を運び去り(健脾運湿)、脾胃の機能を調整(和中)して止清します。車前子は利水して泌尿器系の熱を去り(利水通淋)、滋養効果で下焦を強めます。茯苓と車前子の利尿効果により膀胱の緊張が緩和され、泌尿器系への刺激が軽減する効果があります。
甘草は、使薬として脾胃の機能を調えて気を補いつつ(益気和中)、それぞれの生薬の薬性を調和する役割があります。
以上、清心蓮子飲の効能を「益気滋陰、清心火、利水」といいます。
鎮静と興奮の両効果によりバランスの失調を緩解させ、諸症状を改善します。
清心蓮子飲は、上盛下虚の傾向にある場合や、ストレスや緊張による排尿トラブルによく使用します。
上盛下虚の諸症状については、陰虚火旺証の頭痛や肩凝りには六味地黄丸、肝陽化風証のふらつきや耳鳴りには釣藤散、脾胃不和証の嘔吐や下痢には半夏瀉心湯、衝任虚寒証の冷えのぼせや月経不順には温経湯、寒痰証の喘息や気管支炎には蘇子降気湯(そしこうきとう)などを使用します。
清心蓮子飲の出典は『和剤局方』です。
清心蓮子飲の体験談・口コミ
口コミ①しつこい膀胱炎に
何度も何度も膀胱炎になります。ストレスが多いときに悪化します。疲れやすく、頻尿で、排尿時に不快感を伴います。のぼせとロの渴きもあります。
清心蓮子飲を使用して2力月程度で症状が良くなりました。
口コミ②不眠と口内炎が清心蓮子飲で改善
ストレスで不眠症です。口内炎もあります。疲労があるのに眠れません。眠っても悪夢をよく見ます。悩み事が多いです。
清心蓮子飲を飲み始めて2力月で口内炎が治りはじめ、3力月ほどでストレスと不眠が改善しました。
口コミ③夜間頻尿に清心蓮子飲
夜寝ているときにおしっこで何度も起きます。昼間もトイレの回数がとても多いです。
清心蓮子飲を飲み始めて2か月程度で、尿の回数が減り、頻尿が改善してきました。
清心蓮子飲を使った製品の例
散剤 | 清心蓮子飲エキス(小太郎漢方製薬、日邦薬品工業)、ユリナールa(小林製薬)、清澄(建林松鶴堂) |
錠剤 | ユリナールb(小林製薬) |
湯薬 | 清心蓮子飲(東洋漢方製薬) |