蘇子降気湯(そしこうきとう)は。痰の多い慢性気管支炎などに活用される漢方薬です。上実下虚を改善し、咳を改善する効能があります。
蘇子降気湯は、メインの生薬が蘇子(紫蘇子)で、上逆した気を降ろすことにより様々な病を治療する漢方薬です。呼吸器系の病気に使用されることが多いです。
目次
蘇子降気湯はどんな人に効果がある?
蘇子降気湯は、痰が多く、呼吸が苦しくなるような咳が出る、特に息を吸うときに苦しさを感じるなど、特に高齢者によく利用される処方ですが、足の冷えとのぼせがあれば咳だけでなく、歯周病で歯がグラグラしたり鼻血のある場合にも利用されます。
長期の利用には甘草の副作用(むくみなど)に注意が必要です。
蘇子降気湯は、「寒痰喘咳(かんたんぜんがい)」証を改善する処方です。
病気を引き起こす原因の一つに、痰飲(たんいん)があります。痰飲とは、体液の代謝異常などにより体内に貯留した異常な水液、またはその証です。その痰飲が寒冷の性質を持つ病邪(寒邪)を伴う場合、その証を「寒痰」といいます。
寒痰は肺に蓄積され、肺の機能を阻害しやすくなります。肺の機能は、呼吸により空気中から必要な成分を吸入して体内の不要物を排出することのほかに、体に必要な気と体液(津液しんえき)を全身の隅々に散布し(宣発せんぱつ)、その後は呼吸を整えて津液を次第に下方に推し進めること(粛降しゅくこう)です。
これらの機能が寒痰によって阻害されることにより、喘鳴や咳(喘咳)が生じる証が「寒痰喘咳」です。気道の分泌が過剰になり、痰が大量に呼吸器系にたまっている状態といえます。
寒痰喘咳になると、冷えた痰飲が肺に過剰に存在するため、白い痰が多く出る。寒痰が肺に停滞することによる肺の粛降機能の失調から、喘咳や、胸がつまるような不快感(胸悶)が生じます。
この漢方薬を使う主な症状
足冷えや顔ののぼせがあり、息苦しさのあるものの慢性気管支炎、気管支喘息、高齢者の咳
、咳が出て苦しいなどが主な症状です。
蘇子降気湯を使う主な症状は、寒痰喘咳の症候を現わす以下のようなものです。
慢性気管支炎
肺気腫
気管支喘息
咳
耳鳴り
歯周病
蘇子降気湯の処方
蘇子降気湯の配合生薬は、
①紫蘇子
②半夏
③厚朴
④前胡
⑤肉桂
⑥当帰
⑦蘇葉
⑧生姜
⑨大棗
⑩甘草
の十味です。
君薬の紫蘇子は、上逆した気を降ろし、喘咳を緩和する効果があります(降気平喘)。また、痰を減らし、咳を止めます(化痰止咳)。気道の分泌を減らし、気管支平滑筋の痙攣を抑制し、呼吸を落ち着かせます。便通を良くする働きもあります(潤腸通便)。
臣薬の半夏は上逆した気を下げて痰を取り去り(降逆祛痰)、嘔吐を緩和する効果があります(止嘔)。同じく臣薬の厚朴は、降気して喘鳴を治め(降気平喘)、胸悶を改善する効果があります(寛胸除満)。同じく臣薬の前胡は、肺の宣発・粛降機能を高めて気を降ろし(宣肺下気せんぱいかき)、また祛痰止咳する効果があります。半夏、厚朴、前胡の3つの臣薬により、紫蘇子の降気祛痰平喘作用が強められます。
佐薬は4つあります。肉桂は、腎を中心とした下半身(下焦)を温めてその機能を高め(温補下元おんぽかげん)、腎の納気作用を高めて喘咳を平らげる。当帰は、上逆した気を治め、血を補って人体を潤すことにより(養血潤燥)、肉桂と協力して温補下元します。生姜は、寒邪を発散するとともに(散寒)、半夏の毒性を抑制します。蘇葉は、宣肺します。
使薬の大棗と甘草は、脾胃の機能を調えて気を補いつつ(益気和中)、それぞれの生薬を調和する効果があります。
これらの蘇子降気湯の効能を「降気平喘、祿痰止咳」といいます。
蘇子降気湯の出典は『和剤局方』です。
蘇子降気湯の体験談・口コミ
口コミ①蘇子降気湯で慢性気管支炎が改善
慢性気管支炎に悩んでいました。痰は白く、粘り気は少ない痰がたくさん出ます。痰の他に、咳も出て呼吸が苦しく、足が冷えます。
蘇子降気湯の服用し始めて3力月後には痰や咳がかなり楽になりました。夜間の咳が減り、しっかり眠れるようになりました。
口コミ②辛い気管支喘息に
気管支喘息と診断されていました。痰がからんだ咳が出ます。温度差や刺激のあるにおいなどで咳が出て、息を吸うのが苦しくなります。
蘇子降気湯を服用し始めて1か月を過ぎると、気管支炎の症状が改善し始めました。
口コミ③高齢者の咳に蘇子降気湯
70代を過ぎて高齢になり、喉が弱くなったのか、咳が良く出て辛いです。
蘇子降気湯を半年ほど飲み、咳が楽になってきました。
蘇子降気湯を使った製品例
散剤 | 平喘顆粒(イスクラ産業)、蘇子降気湯エキス細粒G(小太郎漢方製薬) | |
錠剤 | 蘇子降気湯エキス錠N(小太郎漢方製薬) |