帰脾湯(きひとう)は虚症の不眠、疲労、貧血、出血などに効く漢方薬です。心脾の機能低下と気血の不足を解消する効果があります。
病気や体調不良の原因には、免疫力の不足や体力や機能の低下がある場合(虚証)と、体力的には弱っていないが病邪の勢いが強い場合(実証)とがあります。
慢性的な不調は虚証であることが多いです。疲労感、体がだるい、精神疲労が強いなどの症状が起こります。
目次
帰脾湯はどんな人に効果がある?
帰脾湯は全身の疲れで眠れない場合に利用されます。胃腸の悪い人に適応が多く、貧血気味で顔色もあまりよくない、不安とともに動悸をよくする場合にも利用します。
加味婦脾湯を服用すると下痢をしてしまう場合にも利用されます。
帰脾湯は、「心脾気血両虚、脾不統血」証を改善する処方です。
心脾気血両虚の人は脾気が弱いので、疲労倦怠感、食欲不振、息切れ、軟便、体の熱感、寝汗などが起こりがちです。血の不足により、顔の色つやが悪く、時に黄色っぽくなります。動悸、健忘、頭がふらつく、頭が重いなどの症状も起こります。
心脾気血両虚では不眠が見られることも多いです。昼間は眠いのですが、夜は眠りが浅く、夢をよく見て目覚めやすいです。
舌は白っぽく、白い舌苔が薄く付着することが心脾気血両虚の特徴です。
心脾気血になると、少しの刺激で出血しやすくなったり、出血が止まりにくい体質になります。これが「脾不統血」証です。血便、紫色の皮下出血、不正性器出血、過多月経、月経期間の延長、月経周期の短縮などの症状が起こることがあります。
この漢方薬を使う主な症状
帰脾湯は、心身が疲れ、血色が悪い貧血、不眠症、神経症、精神不安、カラダの疲労が心にまで及んで不眠や不安になっている、日中眠くて夜は寝にくく、寝汗をよくかく、月経過多、下血、皮下出血などに使われる漢方薬です。
帰脾湯を使う主な症状は、心脾気血両虚、脾不統血の症候を現わす以下のようなものです。
各種貧血
不眠症
健忘症
血小板減少性紫斑病
下血、吐血
自律神経失調症
神経衰弱
不安神経症
ヒステリー
不正性器出血
不妊症
更年期障害
慢性胃腸炎
神経性胃炎
胃・十二指腸潰瘍
低蛋白血症
各種心疾患
帰脾湯の処方
帰脾湯の配合生薬は、
①黄耆
②人参
③白朮
④茯苓
⑤当帰
⑥竜眼肉
⑦酸棗仁
⑧遠志
⑨甘草
⑩木香
⑪大棗
⑫生姜
の十二味です。
君薬の黄耆は脾胃の機能を高め、気を補う効果があります。同じく君薬の竜眼肉も脾気を養い、心血を補う効果があります。
臣薬の人参と白朮には補気効果があり、黄耆と組み合わせることにより、補脾益気の力を強めます。同じく臣薬の当帰は補血薬で、竜眼肉との相互効果により、補心養血効果を高める効能を持ちます。
佐薬の茯苓、酸棗仁、遠志は心の機能を調整して精神を安定に導く効果があります。木香は同じく佐薬として気の流れを良くし、補気薬や補血薬によって停滞しがちな脾胃の機能を回復させる効果があります。
甘草は使薬として益気和中しつつ、それぞれの生薬の薬性を調和します。
生姜と大棗も脾胃の機能を調え、気血生化を補助する効能があります。
これらの帰脾湯の効能を「益気補血、健脾養心」といいます。
帰脾湯の出典は13世紀(宗代)の医学書『済生方』です。元の処方に当帰と遠志が加えられ現在の処方となっています。
帰脾湯の体験談・口コミ
口コミ①不眠症に帰脾湯
不眠症で眠りが浅く、夜中によく目が覚めます。また、疲れやすく、日中は眠いのに、夜になると眠れません。寝ても夢をよく見てしっかり眠れません。
帰脾湯を使用しはじめて3力月ほどで眠りが深くなり、疲れが取れるようになりました。
口コミ②生理不順で疲れやすく、冷え症も
生理不順で困っています。生理が遅れがちで、疲れやすく、冷え症もあります。目の下にくまが目立ちます。
帰脾湯を飲んで3か月程度で次第に生理周期が安定し、疲れにくくになってきました。くまも薄くなりました。
口コミ③慢性的な貧血に帰脾湯
慢性的な貧血があります。冷え症体質でもあります。舌がいつも白っぽいです。
帰脾湯を2か月飲んだところ、貧血を感じる頻度が減ってきました。冷え症もやや改善したように感じます。
帰脾湯を使用した製品の例
散剤 | 帰脾湯エキス細粒G(小太郎漢方製薬) |
湯薬 | 帰脾湯(ウチダ和漢薬) |