当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果効能 冷え症、生理痛、不妊や腰痛など

当帰四逆加呉茱萸生姜湯 効果効能

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は腹痛、神経痛、生理痛など冷えによる症候に効く漢方薬です。冷えを除去して経脈の流れを改善する効果があります。不妊にも使用されることがあります。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は当帰四逆湯に呉茱萸と生姜を加えた処方です。当帰を主薬とし、手足の冷えなどを改善することにより、病気や体調不良を改善していく処方です。この効果は、呉茱萸と生姜を加えることにより強化されます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯はどんな人に効果がある?

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、手先や足先が冷える人に適応があります。冷えそのものの改善にも、冷えからくるさまざまな症状にも利用出来ます。

夏場の冷房で冷えてしまう場合に利用します。また、冷えて下腹部が痛む場合にも利用します。

おなかが冷えてガスが溜まる場合や、吐き気や下痢をする場合にも利用出来ます。特に中高年の女性に適応が多いですが、男性の冷えやインポテンツ(勃起不全)にも利用されます。

当帰四逆湯および当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、「血虚受寒(けつきょじゅかん)」証を改善する処方です。

血虚受寒の根本にあるのは血虚証、血(けつ)が不足している体質です。血は人体を構成する基本成分の一つで、血液だけでなく、血液が運ぶ栄養、さらに身体を滋養する効果を含みます。

血虚は、栄養が足りていない場合だけでなく、血液循環や自律神経系、内分泌系などが悪くなっても起こります。体の隅々にまで血液や栄養がいきわたらない体質や状態が血虚です。

血虚の状態では、血が不足して、手足や身体全体に十分に栄養がないため、外からの寒邪(かんじゃ)の影響を受けやすくなります。そうすると寒邪は経脈(けいみゃく)に容易に侵入して経脈中の血の流れが悪化して経脈の機能が阻まれるということになります(寒凝経脈)。

身体を温める力(陽気)の流れが寒邪に阻害されるために十分温められず、手足の強い冷え(四肢厥寒)が生じます。手足の痺れや痛みが起こる場合も考えられます。

下腹部の冷え、腰の冷え、大腿部の内側や股間の冷え、腹痛(とくに下腹部痛)、腰痛、頭痛なども引き起こされます。お腹にガスが溜まったり、また生理痛が起こったりします。

身体中を巡る経脈のどの部位が寒邪に侵されているかにより、症状が表れる場所や具体的な症状が異なります。

例えば、血の不足により脳に送られる血液量が減ると立ちくらみやめまいが起こります。冷えによる蓴麻疹、しもやけ、胃腸の痙攣、不妊なども起こります。皮膚には、うっ血が生じたり、唇や爪が紫色になったり(酸素不足によるチアノーゼ)する場合も考えられます。

いずれの症状も、寒冷刺激により悪化し、温めると改善します。舌の色は赤みが少なくて白っぽく、その上に白い舌苔が付着していることが多いです。

この漢方薬を使う主な症状

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、手足の冷えを感じ、下肢の冷えが強く、下肢または下腹部が痛くなる冷え症、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛、下痢、月経痛、冬になると手先や足先が痛い、手足に冷えがあり、胃の不快感があるなどに使われる漢方薬です。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使う主な症状は、血虚受寒の症候を現わす以下のようなものです。

坐骨神経痛をはじめとする神経痛

腰痛

末梢循環障害

レイノー病

しもやけ、蓴麻疹などの皮膚疾患

慢性関節リウマチ

慢性関節炎

生理痛、月経困難症、不妊症

胃・十二指腸潰瘍

下痢

インポテンツ・ED

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の処方

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の配合生薬は、

①当帰

②桂枝

③芍薬

④細辛

⑤木通

⑥甘草

⑦大棗

⑧呉茱萸

⑨生姜

の九味です。

君薬の当帰は、不足する血を補い(補血養血)、経脈に滞る血を温めて脈内の通りをよくする(通脈)効果があります。同じく君薬の桂枝は、経脈を温めて血を巡らせ(通陽)、寒邪を排除する効果があります(温経散寒)。体表部などの血管拡張効果です。経脈の血の流れを改善する(活血通脈)ことにより、当帰の通脈効果を補助する効能があります。

臣薬の芍薬は、血をはじめとする陰液を補い(養血益陰)、当帰の養血効果を強める効果があります。同じく臣薬の細辛は文字通り細い形状の辛温薬で、温経散寒して桂枝を補助し、鎮痛効果もあります。

佐薬の木通は、経脈を通じさせる効果があります。利水効果もあります。

使薬の大棗と甘草は、脾胃の機能を高めて気を補い(益気健脾)、当帰や芍薬の補血効果を高め、桂枝や細辛の通陽効果を補佐するとともに、それぞれの生薬の薬性を調和させる効果があります。

呉茱萸は熱性が強い生薬で、散寒効果があります。胃を温めて嘔吐を止め、肝を温めて上逆を降ろし(降逆)、腎を温めて嘔吐と下痢を改善する効果があります。

生姜は胃を温めて寒気を散らし(温胃散寒)、降逆して嘔吐を止め、呉茱舆の働きを補助する効能を持ちます。

当帰四逆湯の効能は「温経散寒、養血通脈」です。当帰四逆加呉茱萸生姜湯だと、「散寒止嘔」の効能が強まるという特徴があります。

血虚受寒による厥寒が長く続く場合(久寒)や、嘔吐や腹痛がある場合は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の方が良いといいます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、桂枝、細辛、呉茱萸などの辛温散寒薬と、当帰、芍薬などの温養補血薬とで構成されることにより、寒凝経脈を治療していく方剤(温経散寒剤)となっており、陽と陰の両方を補います。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の出典は『傷寒論』です。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の体験談・口コミ

口コミ①不妊症で当帰四逆加呉茱萸生姜湯を服用

不妊症に悩んでいます。もともと基礎体温が低く、生理不順や生理痛も強いです。生理痛は、お腹と腰を温めると軽減することが多いです。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を服用するようになって3力月目くらいから生理が安定してきました。1年ほど経ち無事妊娠しました。

血虚受寒証とみて当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使用した例。

口コミ②冷え性で腰痛が辛い

腰痛が酷いです。整形外科に通っていますが改善しません。冷え症でお風呂に入っても身体がなかなか温まりません。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使用し始めて腰の痛みは徐々に軽くなり、3力月ほどすると病院に行かなくてもよくなりました。

血虚受寒証とみて当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使用した例。

口コミ③生理痛やPMSに当帰四逆加呉茱萸生姜湯

元々生理痛やPMSが酷い体質でした。色々改善方法を試してみましたが、効果がないという状況が続いていました。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を服用して、3か月程度で生理痛が軽減、PMSも改善したように感じています。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使用した製品の例一覧

散剤 当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス(小太郎漢方製薬、松浦)、順血温補湯(ウチダ)、卜ーゴシュウ(大杉)、JPS漢方顆粒-34号(ジェーピーエス製薬)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス(ウチダ、東洋漢方製薬)
錠剤・カプセル 当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス錠(大峰堂薬品工業、クラシエ薬品、ジェーピーエス、伸和製薬、日邦薬品工業)、ベルクリーン錠(クラシエ薬品)、シモラN(小太郎漢方製薬)、ホノミオンケツ錠(剤盛堂薬品)、錠剤当帰四逆加呉生姜湯(一元製薬)
湯薬 当帰四逆加吳茱萸生姜湯(ウチダ和漢方、タキザワ漢方廟、東洋漢方製薬)