参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)は胃腸が虚弱で下痢しやすい場合などに使用される漢方薬です。脾気を補い湿邪を除去する効能があります。
人参、茯苓、白朮をメインの生薬にした処方です。
参苓白朮散は弱った胃腸を改善する処方で、子どもの胃腸障害にも使用できます。
目次
参苓白朮散はどんな人に効果がある?
参苓白朮散は、普段からすぐ下痢をする人や病後の食欲不振・下痢・軟便に利用されます。下痢をしやすい子どもにもよく効くといいます。
また、食べるとすぐにおなかが膨れてしまうような人に利用されます。泥や水のような下痢があります。便臭はきつくなく、腹痛もあまり強くない、顔色があまりよくなく、ときに手足のほてりやノドの渴きがみられる場合に用いられます。
少し甘みと独特の香りがあり、あまり強い味のしない漢方薬です。
参苓白朮散は「脾虚挟湿(ひきょきょうしつ)」証を改善する処方です。
根本にあるのは、消化吸収機能の低下(脾虚)です。主に吸収機能の障害により、消化管内の水分量が多くなり、その結果、湿邪(しつじゃ)が生まれ、「脾虚挟湿」証となります。
この漢方薬を使う主な症状
胃腸が弱く、やせて顔色が悪く、食欲がなく下痢が続く傾向がある食欲不振、慢性下痢、病後の体力低下、疲労倦怠、消化不良、慢性胃腸炎などに使用されます。
参苓白朮散を使う主な症状は、脾虚挟湿の症候を現わす以下のようなものです。
慢性胃炎
慢性腸炎
消化不良
病後の胃腸虚弱
貧血
慢性気管支炎
慢性腎炎
帯下の多い膣炎や子宮頸管炎
参苓白朮散の処方
参苓白朮散の配合生薬は、
①人参
②白朮
③茯苓
④山薬
⑤蓮肉
⑥白扁豆
⑦薏苡仁
⑧縮砂
⑨桔梗
⑩甘草
の十味です。
人参は脾胃の機能を高め(健脾)、強く気を補う効果があります(益気)。白朮は健脾と同時に湿邪を滲出させて除去(滲湿)し、脾の運化効果を助け、人参の補気効果を強めます。
茯苓も健脾滲湿し、白朮との組み合わせにより腸管内の過剰水分を吸収して血中に引き込んで尿として排泄し、健脾滲湿効果を強める効果があります。止瀉にも働きます。また人参と白朮により補われた気を全身に流す働きもあります。
臣薬は山薬、蓮肉、白扁豆、薏苡仁の4つです。山薬は健脾益気し、蓮肉は健脾滲湿するとともに、止瀉効果もあります。白扁豆は健脾滲湿し、薏苡仁は利水健脾します。山薬と蓮肉が人参の健脾益気効果を助け、白扁豆と薏苡仁が白市、茯苓の健脾滲湿効果を高める効果があります。
佐薬の縮砂は脾の機能を活発にして(醒脾)気の流れを滑らかにする効果があります。
桔梗は五臓の肺の気を巡らして、津液の流れを良くする効果があります(通調水道)。それぞれの生薬の効果を上部に引き上げる効果もあります。これにより肺の機能を高めます。また下痢のように下に向かう症候に効果があるともいわれます。
甘草は使薬として益気和中しつつ、薬性を調和する役割です。
以上、参苓白朮散の効能を「益気健脾、滲湿止瀉」といいます。
以上の配合により、中気を補い、湿邪を除去し、気の滞りを巡らせ、脾胃の機能を回復させて様々な症状を改善していきます。
参苓白朮散の出典は『和剤局方』です。
参苓白朮散の体験談・口コミ
口コミ①手足のほてり、軟便に参苓白朮散
手足がほてり、唇の乾燥も気になります。便は下痢気味で柔らかく、腹痛はないものの水のような便が出るときがあります。
参苓白朮散を飲んで2力月目くらいから軟便が良くなりはじめ、半年ほどで、健康的な便が出る状態になりました。
口コミ②慢性的な下痢に悩んでいました
一日に何度もトイレに行くような慢性的な下痢に悩んでいます。食欲不振で疲れやすいです。舌は赤く乾燥しています。
参苓白朮散の4力月間の服用で、諸症状が改善しました。
口コミ③食欲がなく体重が落ちる場合に参苓白朮散
最近、食欲がなく、食が進まないため体重がどんどん落ちてきました。
参苓白朮散を服用して2か月程度で食職が回復。体重も戻りつつあります。
参苓白朮散を使った製品例
散剤 | 苓白朮散(料)エキス(クラシエ、小太郎漢方製薬)、健脾散エキス顆粒(イスクラ産業)、参苓白朮散(松浦) |