藿香正気散の効果効能 胃腸炎、嘔吐下痢などに

藿香正気散 効果効能

藿香正気散(かっこうしょうきさん)は嘔吐や下痢を伴う夏の風邪などに使用される漢方薬です。

藿香正気散の「気」は、胃腸の気を意味します。胃腸の気が失調し、嘔吐や下痢が生じているようなときは藿香正気散で改善します。メインの生薬「藿香(かっこう)」に、気の乱れを正す働きがあります。

藿香正気散はどんな人に効果がある?

藿香正気散は夏に暑さに負けて起きた下痢や吐き気、その他の胃腸症状に頓服で利用出来ます。冬でも下痢や嘔吐のあるかぜに利用出来ます。

冷房でカラダを冷やしすぎて下痢をしている場合にも利用されます。

蕾香正気散は、「外感風寒、内傷湿滞」証を改善する処方です。

病気の原因には、体質の悪化など体内にあるものと、外気の冷えや乾燥など体外にあるものがあります。体内にあるものを内傷、体外にあるものを外感と呼びます。

外感風寒

外感風寒は、外からの風邪と寒邪(風寒邪)に侵された状態です。

寒邪は、自然界の寒冷により生じる現象に似た症候を引き起こす病邪で、冷え、固定性の痛みなどが生じやすくなります。外感風寒は、ウイルスや細菌の感染による初期症状に近いといえます。

風寒邪に侵されると、体表で人体の抵抗力が風寒と争うため、ぞくぞくとした寒気(悪寒)や発熱が起こります。風寒邪が頭部に来ると頭痛が起こります。発熱は微熱であることが多いです。

内傷湿滞

内傷湿滞とは、体内に溜まっている湿邪によって引き起こされる証です。湿邪の一つ、飲食物から生じる湿濁が消化器官内にたまると、胃腸の消化吸収機能の調和が乱れます(脾胃不和)。湿邪が脾胃に停滞していると、清気がスムーズに上昇できず、濁気が下降できなくなります(昇降機能の失調)。このため、上に向かって吐き気や嘔吐、下に向かって下痢が起こるというわけです。

ときに嘔吐と下痢が同時に発生する霍乱(かくらん)状態にもなることがあります。腹部膨満感や腹痛が起こり、脾胃機能の低下により食欲不振にもなります。味覚が衰えることもあります。身体の重だるさを感じることもあります。

舌には、べっとりとした白い舌苔が付着することが特徴です。ロが粘ることもあります。

体表と体内の両方に症状がある場合(内外両傷)に藿香正気散は適応があります。

この漢方薬を使う主な症状

藿香正気散は風邪、感冒、暑さによる食欲不振、急性胃腸炎、下痢、全身倦怠感、夏かぜや暑さが原因の吐き気や下痢などに使われる漢方薬です。

藿香正気散を使う主な症状は、外感風寒、内傷湿滞の症候を現わす以下のようなものです。

急性胃腸炎

消化不良

胃・十二指腸潰瘍

胃腸型感冒(風邪)

天候不順時の感冒(風邪)

夏風邪

食中毒

食欲不振

下痢

吐き気、嘔吐

耳下腺炎

アトピー性皮膚炎

アレルギー性鼻炎

浮腫

上記の症状は、夏に生じることものが適応としては多いです。夏に湿度が高いところに、汗や冷房で身体が冷えてかぜを引き、冷たい飲み物、冷たい果物の過剰摂取などで胃腸の調子がよくない状態で症状が出ます。

藿香正気散は、夏風邪、夏バテ、暑気あたり、冷房病にもよく使用されます。

同じ嘔吐や下痢でも、湿熱や、暴飲暴食による嘔吐や下痢には効果がないと言われています。

藿香正気散の処方

藿香正気散の配合生薬は、

①藿香

②蘇葉

③白芷

④半夏

⑤厚朴

⑥白朮

⑦茯苓

⑧陳皮

⑨大腹皮

⑩桔梗

⑪生姜

⑫大棗

⑬甘草

の13味です。

君薬の藿香は、体表の病邪取り払い(解表)、特に風寒邪を発散して取り除く効果があります。また、湿濁を除去することにより(化湿)、脾胃の機能を調和し(和中)、昇降機能の失調を改善する効能を持ちます(昇清降濁)。

臣薬の蘇葉は、外感の寒邪を発散し(発表散寒)、気を巡らして脾胃の負担を軽くする(行気寛中)。解毒効果もあります。同じく臣薬の白芷は、外感の風邪を取り払い(祛風解表)、湿邪を払う効果があります(燥湿)。止痛効果もあります。蘇葉と白芷で風寒邪を散らし、湿濁を改善して君薬の藿香を助けます。同じく臣薬の半夏は、痰飲を除去して鬱結、つかえを解消し(化痰散結)、滞って上逆した気(気逆)を降ろして胃の調子を改善する効果があります(降逆和胃)。燥湿効果により吐き気や嘔吐が抑えられ(止嘔)、咳が改善します。同じく臣薬の厚朴は気の鬱結を改善して、塞がっていた部分を開く効果があり(行気開鬱)、腹満が解消されます。厚朴には半夏と同じように、化痰散結、燥湿効果があります。

佐薬は7味あります。白朮と茯苓は脾の機能を立て直して湿濁を運び去り(健脾運湿)、脾胃の機能を調整(和中)して止瀉する効果があります。陳皮と大腹皮は気を巡らして湿邪を取り払い(行気化湿)、胃のつかえをなくして(通暢)、腹満を解消する効能を持ちます(暢中除満)。桔梗は肺の機能を改善して解表、化湿を助ける役目があります。生姜と大棗の組み合わせで体表と体内の気を調和させ(調和営衛)、胃の調子を上昇させる効果になります。

甘草は、使薬として胃の調子を調えて気を補いつつ(益気和中)、それぞれの生薬の薬性を調和する役割があります。

これら藿香正気散の効能を「解表化湿、理気和中」といいます。

藿香正気散の出典は『和剤局方』です。

藿香正気散の体験談・口コミ

口コミ①寝汗と体の重だるさが気になります

就寝時に上半身にべっとりと寝汗をかきます。体が重だるく、疲労感があります。飲酒と食べることが好きです。

藿香正気散を使用して1力月で寝汗がなくなり始めました。疲労感も改善しました。

内傷湿滞、営衛不和とみて藿香正気散を使用した例。

口コミ②藿香正気散を胃の不調で飲みました

みぞおちあたりのつかえ、上腹部の膨満感、吐き気があります。身体や頭の重さもあります。

藿香正気散を飲み始めて3力月ほどで症状が改善しました。

内傷湿滞、昇降機能の失調とみて藿香正気散を使用した例。

口コミ③夏風邪の下痢や吐き気に藿香正気散

夏にエアコンにあたりすぎるせいか、毎年風邪を引きます。熱はあまり出ませんが、下痢や吐き気が酷いです。

夏風邪の症状が出たときに服用したところ、症状が軽くなりました。

藿香正気散を使用した製品の例

散剤 藿香正気散(料)エキス(クラシエ薬品、小太郎漢方製薬、松浦薬業)、勝湿顆粒(イスクラ産業)、カッコーサンN(小太郎漢方製薬)、救長(建林松鶴堂)
液剤 JP5藿香正気散液(ジェーピーエス製薬)

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