白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)は炎症や感染症などの原因になる熱邪を改善することに有効な漢方薬です。
白虎湯(びゃっことう)や白虎加人参湯は、体内に存在する熱邪が、人の免疫力や抵抗力と争っている時に用いる処方です。
目次
白虎加人参湯はどんな人に効果がある?
白虎加人参湯は、水を何杯飲んでもノドの渴きが収まらず、体表や体内に熱がある感じの場合に利用します。
ノドや口の渴きが気になる場合には、原因が何であれ利用します。糖尿病や発熱、熱中症によるノドの渴きなどに利用出来ます。湿疹や蕁麻疹は赤くてかゆみが強く、触れると熱く感じることがある場合等に使用します。
白虎加人参湯は、「気分熱盛(きぶんねっせい)、気陰両虚(きいんりょうきょ)」証を改善する漢方薬です。
気分熱盛証では、胃を中心に(胃熱)、体内に強い熱邪が存在しています。邪気(熱邪)と免疫力や抵抗力が体内で激しく争っているため、比較的高い熱、あるいは熱感が出て、汗が多く出ます。顔面紅潮、ほてり、ロの渴き、口臭、腹部膨満感、味覚減退、だるさ、うわ言など精神の乱れ、不眠、失禁、頭痛、手足の冷えなどの症状が出ることがあります。
これらが熱を体外に発散させる白虎湯の適応証です。高熱、ロの渴き、多汗、強い脈が目立つ症状です。舌は赤く、黄色い舌苔が付着することが特徴です。
白虎加人参湯の適応は以下の通りです。
気陰両虚証になると、白虎湯が適する証で見られる症候に加えて、息切れ、無力感、疲労倦怠感、背部の軽度の悪寒など、気虚の症候が見られます。
舌は白虎湯の場合よりも乾燥が進み、潤いが少なく黄色い舌苔も乾燥することが特徴です。
この漢方薬を使う主な症状
白虎加人参湯は、熱感と口渴が強いノドの渴き、ほてり、湿瘡・皮膚炎、皮膚のかゆみ、ノドの渴きが強く、熱感がある湿疹や手足のほてり、熱中症(暑気あたり)などに使われる漢方薬です。
白虎加人参湯を使う主な症状は、気分熱盛、胃熱、気陰両虚の症候を現わす以下のようなものです。
慢性胃炎
急性肝炎
気管支炎、肺炎
インフルエンザ
熱中症
日本脳炎
糖尿病
甲状腺機能亢進症
高血圧
てんかん
慢性関節リウマチ
副鼻腔炎
歯周病、口内炎、咽頭炎、歯痛
結膜炎
皮膚炎
湿疹
乾癖
夜尿症
レイノ一病
白虎加人参湯の処方
白虎加人参湯の配合生薬は、
①石膏
②知母
③甘草
④粳米
⑤人参
の五味です。
白虎湯の君薬の石膏は胃熱を冷まし、熱を体外に発散させる効果があります(解肌透表げきとうひょう)。特に陽明胃経の熱を冷ます働きが強いです。
知母は臣薬として胃熱を冷まし(清熱瀉火せいねつしゃか)、熱による陰液の消耗を防ぎ(滋陰潤燥じいんじゅんそう)、君薬の働きを補助する効能があります。血糖降下効果もあります。
甘草と粳米は佐薬として気と津液を補って(益気生津えっきしょうしん)、胃を守り、君臣薬の働きを補助します。また寒性の強い清熱剤である石膏や知母の刺激から胃を守る効果があります。さらに甘草は使薬として、それぞれの生薬の薬性を調和させる効能を持ちます。白虎加人参湯では人参が気を補いつつ(補気)、胃の津液を補い、ロ渴を解消させます。
以上、白虎加人参湯の効能を「清熱瀉火、益気生津」といいます。
寒性が強く、冷え症、舌の色が白っぽいなどの寒証が見られる人には使用できません。また熱証でも、陰虚証で生じた虚熱には使いません。
白虎加人参湯の出典は『傷寒論』です。
白虎加人参湯の体験談・口コミ
口コミ①皮膚の乾燥、かゆみに白虎加人参湯
皮膚が痒くて辛いです。寝ている間にも掻いて傷になっています。肌は乾燥気味で掻いた後は赤く、熱がこもっています。
3力月ほど白虎加人参湯を飲んでみたところ、痒みは次第に治まりました。
口コミ②鼻詰まり、口内炎、口臭
鼻詰まりが常にあります。口内炎ができやすく、口臭もあります。
白虎加人参湯を始めて4力月で鼻が通るようになりました。ロ臭も少なくなり、口内炎もできにくくなりました。
口コミ③口臭に白虎加人参湯
口臭で悩んでいます。いつも喉が渇きます。舌も乾き気味で黄色っぽいです。
白虎加人参湯を2か月ほど飲み、口臭や喉の渇きが気にならなくなってきました。
白虎加人参湯を使った製品の例一覧
散剤 | 白虎加人参湯エキス(クラシエ薬品、三和生薬、東洋漢方製薬、松浦薬業)、JPS漢方顆粒-41号(ジェーピーエス製薬)、白虎加人参湯エキス(一元製薬、三和生薬) |
錠剤・カプセル・丸 | 白虎加人参湯エキス錠(三和生薬、日邦薬品工業) |
湯薬 | 白虎加人参湯(ウチダ和漢薬、タキザワ漢方廠、東洋漢方製薬) |