四物湯(しもつとう)は婦人科疾患に加え、頭痛やしびれにも効く漢方薬です。
血液は体中をくまなく巡り、体の隅々にまで栄養や酸素を送り届ける役割があります。血液の流れが悪くなったり、中身が薄くなったりすると、健康状態が悪化しがちになります。そんな血液の質や流れが悪くなったときに役立つ漢方薬の一つが四物湯です。
血液の質や流れを良い状態に保つことは、健康にも美容にも非常に大事です。
目次
四物湯はどんな人に効果がある?
四物湯は基本的に顔色が悪く、皮膚が荒れている人に適応があります。男女を問わず利用可能ですが、特に月経時に症状がひどくなる傾向がある女性に用いられます。
月経や出産で出血したときの疲労回復にも利用出来ます。疲労感がとても強い場合には、十全大補湯を利用してみる。
エキスを溶かすととても濃い色の処方ですが、苦くはありません。香りはとても強く感じられるので、服用しにくい場合は錠剤を利用します。
四物湯は「血虚」証を改善する基本処方で、「血虚の聖剤」と呼ばれています。
「血(けつ)」は血液や栄養を意味する概念で、血虚とは「血」が足りない体質や状態を指します。
ただし血虚が貧血あるいは栄養失調を直接指すわけではありません。「血」には、体を滋養する効果という意味もあります。だから栄養が足りていても、血液循環や自律神経系、内分泌系などの調子が悪化していれば、体の隅々まで血液や栄養が行き渡らなくなり、これも血虚となります。
血虚にみられやすい症状は、顔色が悪い、肌に艷がない、肌に潤いがなく乾燥する、唇が荒れる、など。これらは肌が滋養されていないために生じる症状です。さらに頭髪や爪に栄養が行きわたらなくなると、髪の毛が細く弱々しくなり、爪がもろく、爪の色が悪くなります。
脳に供給される栄養が不足すれば頭がスッキリせず、めまいやふらつき、立ちくらみ、耳鳴り、頭痛も生じます。
目も「血」の不足には敏感で、疲れ目、かすみ目、ドライアイ、ピントが合わない、といった症状が表れます。
神経系や筋肉の栄養が不足すれば、手足のしびれ、こむら返り、痙攣、関節痛などが引き起こされます。
血虚なると、舌は白っぽい色をしています。
血虚が長期にわたると、動悸、不安感、焦燥感、不眠、眠りが浅い、夢をよく見る、などの症状もみられるようになります。女性では卵巣などへの栄養供給が不足し、生理が遅れ、経血量が減るなどの症状が出ます。このような症状が表れていれば、病気になっていなくとも血虚が進行する、大きな病気になる前の未病の状態です。四物湯などで血虚体質を改善するのがよいでしょう。
血虚の人がなりやすい病気は数多く、皮膚のかゆみ、冷え症、関節炎、腰痛、神経痛、自律神経失調症、不眠症、アレルギー疾患、高血圧、動脈硬化症、胃・十二指腸潰瘍、視力障害など様々です。
この漢方薬を使う主な症状
四物湯は冷え症で皮膚が乾燥・色つやの悪い体質で胃腸障害のない月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症、冷え症、しもやけ、しみ、貧血、産後あるいは流産後の疲労回復、貧血気味で皮膚のカサつきやしみ、しもやけが気になる、月経時の冷えと疲労感、月経異常、貧血タイプの人の産後や流産後の疲労回復などに使われる漢方薬です。
四物湯を使う主な症状は以下のようなものです。
皮膚搔痒症(かゆみ)・皮膚乾燥
冷え症
関節炎、腰痛、神経痛
自律神経失調症
不眠症
アレルギー疾患
高血圧、動脈硬化症
胃・十二指腸潰瘍
視力障害
婦人科系疾患全般(月経不順、月経異常、更年期障害等)
四物湯の処方
四物湯の配合生薬は、
①地黄
②当帰
③芍薬
④川芎
の四味です。
君薬の地黄は滋陰補血する働きが強く、人体に必要な物質を補ってくれる効果があります。
臣薬の当帰は補血活血(ほけつかっけつ)効果があり、血虚を補うとともに血行を改善し、君薬を補助する効能を持ちます。
佐薬の芍薬と川芎は、芍薬の補血平肝(ほけつへいかん)効果と川芎の活血行気(かっけつこうき)効果により、「血」を補いつつ気血の流れを整え君臣薬を補佐する効能があります。芍薬には鎮痙効果もあり、筋肉の痙攣を鎮めます。また、川芎は使薬としてそれぞれの生薬が効果を十分発揮できるように働きます。
以上、四物湯の効能を「補血活血、調経」といいます。
四物湯の出典は『和剤局方』です。昔から、流産の予防や産後の体力回復にも四物湯が使われてきたという言い伝えがあります。
四物湯の体験談・口コミ
口コミ①頭痛や目の疲れに四物湯
長年の頭痛持ちです。頭が重く、めまいや立ちくらみでふらつくこともあります。ドライアイで、目が疲れやすいです。不眠もあり、眠りが浅く、よく夢を見ます。舌は白っぽいです。
3力月ほど四物湯を服用すると、慢性的な頭痛から解放されました。目の乾きも改善しました。
口コミ②足のしびれや冷えが気になる
足がしびれます。長く歩くと、足がだるく痛みます。夜中に足がつって目覚めることもあります。肌の乾燥やかゆみも気になります。舌は白っぽいです。
四物湯を服用して、しびれや痛みはなくなってきました。
口コミ③更年期障害に四物湯
50代を過ぎ、イライラすることが多くなってきています。感情が不安定になり、眠りも朝腐りました。肌荒れもあります。
四物湯を服用して3か月程度で、イライラが治まりはじめ、眠りがしっかりとれるようになってきました。肌荒れも改善してきました。
四物湯を使った製品の例一覧
散剤 | 四物湯エキス(クラシエ薬品、三和生薬、松浦薬業)、四薬温血湯(ウチダ和漢薬)、JPS漢方顆粒-27号(ジェーピーエス製薬)、四物湯エキス(一元製薬、ウチダ和漢薬、三和生薬、東洋薬行) |
錠剤・カプセル・丸 | シモツN(小太郎漢方製薬)、四物湯エキス錠(三和生薬)、錠剤四物湯(一元製薬製薬) |
湯薬 | 四物湯(ウチダ和漢薬、タキザワ漢方廠、栃本天海堂) |