猪苓湯の効果効能、口コミ 膀胱炎、残尿感、頻尿やほてりなどに

猪苓湯 効果効能

猪苓湯(ちょれいとう)は尿トラブル、尿量減少やロ渴を伴う腎泌尿器疾患などに使用される漢方薬です。

猪苓湯は、水熱が互結(ごけつ)し、主に下半身に症状が出る証に用いる処方で、水湿の除去と陰液の補充という2つの効果を併せ持つ漢方薬です。

猪苓湯はどんな人に効果がある?

猪苓湯は排尿卜ラブルにはまず利用してみる漢方薬です。ノドや口の中が渇くことが多く、不眠や下痢がみられる場合などにも。慢性化していても利用出来ます。

猪苓湯には甘草が含まれないので、比較的長く利用しても副効果が出にくい処方です。

猪苓湯は「水熱互結(すいねつごけつ)、熱傷陰津(ねっしょういんしん)」証を改善する処方です。

水邪(湿邪)は病邪の一つで、粘性が強く、動きが鈍いものです。これが熱邪と結び付くことにより、「水熱互結」証となります。根本に「水湿」証があり、水分の吸収や排泄、代謝が滞り、過剰な水分が体内に滞っています。そこに少し熱邪が重なることにより、水熱互結となります。熱証の弱い「湿熱」証に近いです。

水熱互結になると、正常な体液(津液しんえき)が体の隅々まで行き届かないため、尿量の減少やロの渴き、体の熱感、発熱などが生じます。また水湿は、上逆すれば肺に達し、咳嗽を引き起こします。胃に症状が出ると吐き気や嘔吐が生じます。大腸に症状が出ると下痢となります。

水熱互結の状態が進み、熱邪が陰液(津液)を消耗し、陰虚の度合が強くなると、「熱傷陰律」証となります。虚熱の影響により、胸部の落ち着かない不快感(心煩)や、ストレス、不眠が起こります。

熱傷陰の水湿は下焦に停滞しやすく、上焦に及ぶことは少ないので、水邪が多い割には水を飲みたがる傾向にあります。さらに水邪が下焦で熱邪と合わさって膀胱機能を阻害すると、排尿痛、残尿感、濃い色の尿、血尿、時に頻尿などの尿トラブル、さらに下腹部痛、下腹部の膨満感、血便、むくみなどの症状を引き起こします。

舌は赤く乾燥しており、白または淡い黄色の舌苔が付着することが多いです。舌苔は厚くねっとりとしている場合もあります。

この漢方薬を使う主な症状

猪苓湯は排尿異常があり、ときに口が渴く排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみなど、さまざまな排尿卜ラブルに使われる漢方薬です。

猪苓湯を使う主な症状は、水熱互結、熱傷陰津の症候を現わす以下のようなものです。

膀胱炎、尿道炎

腎炎、腎盂炎などの尿路感染症

尿路結石

頻尿

排尿痛

残尿感

前立腺肥大、前立腺炎

胃腸炎

潰瘍性大腸炎

ネフローゼ症候群

不眠症

むくみ

ほてり

猪苓湯の処方

猪苓湯の配合生薬は

①猪苓

②茯爷

③沢湾

④阿膠

⑤滑石

の五味です。

君薬の猪苓は膀胱・腎経に入り、水湿を除去し(利水滲湿りすいしんしつ)、清熱する効果があります。

沢瀉と茯苓は臣薬として猪苓の利水滲湿効果を補助します。沢瀉は寒性で、発熱や膀胱炎などの虚熱の炎症を改善します。茯苓は胃腸機能を調え(健脾)、胃腸に偏在する水邪(停水)を改善し、気の流れを良くします。猪苓と茯苓の組み合わせには、水を下降させてロ渴を癒し排尿を促す効果があります。

猪苓、沢瀉、茯苓の三味で腸管内や組織の水分を血中に引き込み、尿量減少や下痢を改善する効果があります。尿路への刺激も緩和します。

佐薬の滑石には甘寒(かんかん)の性味があり、尿の通りを良くする利水効果と、清熱の働きを持ちます。同じく佐薬の阿膠には乾燥を潤して陰液を補う(潤燥養陰じゅんそうよういん)働きがあります。補血効果により心煩や不眠を解消し、止血効果もあります。

これら猪苓湯の効能を「利水滲湿、清熱養陰」といいます。

猪苓湯と五苓散

猪苓湯は五苓散と組成が似ており、五苓散(沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝の五味)の白朮と桂枝を、阿膠と滑石に入れ替えると、猪苓湯になります。効果も五苓散と似ており、共に利水効果が強い処方なので、尿量減少やロの渴きに効果を発揮します。

しかし、五苓散を使う証(水湿証)では、水邪が熱邪と結び付くほど体内に深く侵入していません。まだ浅いところにある病邪を、桂枝を用いて改善する組み合わせとなっています。

猪苓湯は、滑石で清熱し、阿膠で養陰して「水熱互結、熱傷陰津」証を治療していく生薬の組み合わせです。猪苓湯は、五苓散を使う証に加えて軽度の炎症や陰虚による熱証がある場合に使用します。桂枝と白朮は揮発性の成分が多くて刺激的であるため、桂枝と白朮がない猪苓湯の効果は緩やかです。

猪苓湯のメインは利水です。熱邪が強く盛んな場合や、陰液の損傷が激しい場合は使用してはいけません。

猪苓湯の出典は『傷寒論』です。

猪苓湯の体験談・口コミ

口コミ①膀胱炎に猪苓湯

膀胱炎に悩んでいます。トイレが異常に近く頻尿で、排尿時に痛みもあります。尿は少しずつしか出ません。残尿感もあります。病院で抗菌薬を処方されていますが改善しません。

猪苓湯を飲み始めたところ、2力月程度で概ね改善しました。

下焦の水熱互結とみて猪苓湯を使用した例。

口コミ②むくみやほてり、軟便に

下半身のむくみが酷いです。ほてりやロの渴き、胸の不快感もあります。さらには軟便気味でもあります。

猪苓湯を半年ほど飲んで少しずつ改善しました。ロの渴きや軟便もなくなってきました。

水熱互結、熱傷陰津と考えて猪苓湯を使用した例。

口コミ③頻尿に猪苓湯

頻尿にここ数年悩んでいました。1時間おきにトイレに行くなど、酷い頻尿です。

猪苓湯で3か月程度すると、尿の回数が減ってくる実感があり改善してきた模様です。

猪苓湯を使用した製品例一覧

散剤 猪苓湯エキス(クラシエ薬品、三和生薬、ツムラ、松浦)、ホノミボウネツ粒(剤盛堂薬品)、JPS漢方顆粒-32号(ジェーピーエス)、猪苓湯エキス(一元製薬、ウチダ和漢薬、三和生薬、東洋漢方製薬、東洋薬行)
錠剤・カプセル・丸 猪苓湯エキス錠(大峰堂薬品工業、クラシエ薬品、小太郎漢方製薬、三和生薬、ジェーピーエス製薬、伸和製薬、日邦薬品工業)、チョレインN(小太郎漢方製薬)、ホノミボウネツ錠(剤盛堂薬品)、錠剤猪苓湯(一元製薬製薬)
湯薬 猪苓湯(ウチダ和漢薬、タキザワ漢方廠、東洋漢方製薬)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする