加味逍遙散の効果効能 更年期障害や精神不安、便秘などに

加味逍遙散 効果効能

加味逍遙散(かみしょうようさん)は月経不順などの婦人科領域の疾患、胃炎などに使用される漢方薬です。肝・脾の失調や血の不足、熱証を改善する効果があります。

加味逍遙散は、更年期障害などによく使用される漢方薬ですが、男性でも適応出来ます。

別名、丹梔逍遥散(たんししょうようさん)とも呼びます。

加味逍遙散はどんな人に効果がある?

加味逍遙散は月経や更年期にあらわれる不快な症状に、まず利用してみるとよい処方です。主に女性に適応が多いですが、皮膚疾患や頭痛、不眠などは男性でも適応出来ます。

本来は生薬を粉にした散剤ですが、現在はほぼエキス剤で販売されています。効果の違いはよくわかっていないが、薄荷などはエキス剤にすると少し成分が減る可能性もあります。

市販の便秘薬ですぐに腹痛がするような便秘に効果のある場合があります。また、歯茎の出血や鼻血が治ることもあります。

加味逍遙散は逍遙散に牡丹皮と山梔子を加味した処方です。

逍遙散の適応範囲

まず、逍遙散は「肝鬱血虚脾虚(かんうつけっきょひきょ)」証、「肝脾不和(かんぴふわ)」を改善する処方です。

例えばストレスで憂鬱になり(肝鬱)、そのせいで胃腸の機能が悪化し(脾虚)、頭の回転が悪くなる(血虚)といったような状態です。

肝鬱はストレスなどによって自律神経系に不調が出ることをいい、憂鬱、情緒不安定、いらいら、、ため息、胸の張り、肩こり、咳、動悸、腹痛などの症状が起こります。自律神経失調症の他、心身症、神経症、慢性肝炎、胆嚢炎、膀胱神経症なども起こります。舌はやや赤いのが特徴です。

血虚は、頭が重い、ふらつき、目の疲れ、手足のしびれ、動悸、不眠、夢をよく見るなどの症候が出ます。肝鬱と血虚が同時に起こり、肝鬱血虚証になると、頭痛、めまい、さらにロや喉の渴き、手足のほてりなどの熱証も生じやすくなります。熱証は午後に強まりがちです。また、肝鬱血虚証だと、月経不順や月経痛、月経の前に胸が張る・むくみ、月経前に悪化するにきびなどの月経前症候群(PMS)、更年期障害、子宮筋腫、不妊症なども考えられます。

脾虚は食欲不振、疲れやすいなどの症状です。

肝脾不和とは、肝と牌が調和せず、ガスの停滞、腹部膨満感、おなかがごろごろ鳴る、便秘と下痢の繰り返しなどの症状が特徴です。神経性胃炎、胃・十一指腸潰瘍、肝機能障害、過敏性腸症候群なとで起こる症状です

加味逍遙散は熱証がある場合に適応

加味逍遙散は、逍遙散が用いられる上記の状態に加えて、いらいら、怒りっぽい、のぼせ、多汗、微熱、顔面紅潮、目の充血、湿疹、便秘などの熱証がある場合に使用します。

舌は赤く、舌苔が黄色いことが特徴です。

応用範囲は逍遙散とほとんど同じですが、熱証の強い更年期障害や高血圧などに効果を発揮します。

この漢方薬を使う主な症状

加味逍遙散は、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、便秘の傾向のあるような冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症、また、月経や更年期と関係のある冷えやのぼせ、頭痛、不眠、イライラなど皮膚の炎症や湿疹が気になり、頭痛やイライラがあるときなどに使われる漢方薬です。

加味逍遙散を使う主な症状は以下のようなものです。

更年期障害

高血圧

自律神経失調症

不眠症

胃炎、慢性胃炎

胃・十一指腸潰瘍

便秘

肝機能障害

過敏性腸症候群

月経不順や月経痛、無月経、月経前症候群(PMS)

不妊症、子宮筋腫

加味逍遙散の処方

加味逍遙散の配合生薬は、

①柴胡

②当帰

③芍薬

④茯苓

⑤白朮

⑥甘草

⑦生姜

⑧薄荷

⑨牡丹皮

⑩山梔子

の十味です。

君薬の柴胡は肝気鬱結を改善する効果があります。柴胡にはそれぞれの生薬の効果を肝経に導く使薬としての役割もあります。柴胡と芍薬の組み合わせは疏肝解鬱として非常に効果を発揮します。鎮静、鎮痙、鎮痛効果もあります。

臣薬の当帰と芍薬には肝血を補う養血柔肝効果があり、肝を保護して君薬を補助し、肝血を満たして肝陽の過剰を緩和します。月経を安定させ、活血効果もあり血流を調える効能を持ちます。

佐薬の白朮と茯苓、甘草は健脾和中し、肝鬱により抑え込まれた消化吸収機能を高めます。失われがちな血の生成も助けます。同じく佐薬の薄荷は肝の鬱熱を改善し、君薬を補助する効果があります。生姜も佐薬として気を降ろし和中する効能です。健脾の白朮・茯苓は食欲不振や疲労倦怠感、むくみに効果を発揮します。

甘草は使薬としてそれぞれの生薬の薬性を調和します。

さらに牡丹皮は血中の熱を下げ、山梔子は肝の熱を除去します。

これらの加味逍遙散の効能を「疏肝解鬱、養血健脾、清熱涼血」と呼びます。

逍遙散の出典は『和剤局方』で、加味逍遙散の出典は諸説あり『内科摘要』が有力です。

加味逍遙散の体験談・口コミ

口コミ①更年期障害の様々な症状に加味逍遙散

44歳になり更年期障害になったようで、のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)と不眠に悩んでいます。月経周期も乱れるようになりました。舌は赤いです。

加味逍遙散を飲み初めてしばらくすると、のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)と不眠は改善してきました。半年ほど飲み続けて、ほとんど気にならなくなりました。

肝火証とみて加味逍遙散を使用した例。

口コミ②加味逍遙散で便秘体質を改善

便秘でおなかにガスがたまり、張りが気になります。便は硬く、ウサギの糞のような小さいコロコロしたものがでます。

加味逍遙散をのんで約半年で便秘体質が改善してきました。

肝鬱血虚の痙攣性便秘とみて加味逍遙散を使用した例。

口コミ③イライラ、不眠症に効果

30代でまだまだ更年期という年でもないのに更年期障害のようなイライラ、怒りっぽさ、不眠に悩まされています。手足のほてりもあります。舌そのものは赤っぽく、表面はやや黄色です。

3か月ほど加味逍遙散を飲んでみたところ、イライラや不眠が改善してきました。

加味逍遙散を使用した製品の例一覧

散剤 加味逍遙散料エキス(クラシエ薬品、小太郎漢方製薬、三和生薬、ツムラ、東洋薬行、松浦薬業)、明華順心(ウチダ和漢薬)、サン・コーミン(大杉製薬)、療方調律顆粒(クラシエ薬品)、JPS漢方顆粒-7号(ジェーピーエス製薬)、清心(建林松鶴堂)、加味逍遙散料エキス(一元製薬、ウチダ和漢薬、三和生薬、東洋漢方製薬、東洋薬行)、ホノミチョウケイ粒(剤盛堂薬品)、加味逍遙散(ウチダ和漢薬)
錠剤・カプセル・丸 加味逍遙散料エキス錠(大峰堂薬品工業、クラシエ薬品、小太郎漢方製薬、三和生薬、ジェーピーエス製薬、伸和製薬、ツムラ、日邦薬品工業)、力ミセーヌN(小太郎漢方製薬)、ホノミチョウケイ錠(剤盛堂薬品)、レディシ卜ルT(ジェーピーエス製薬)、錠剤加味逍遙散(一元製薬)
液剤 漢方濃縮煎剤加味逍遙散(松浦薬業)
湯薬 加味逍遙散料(ウチダ和漢薬、タキザワ漢方廠、東洋漢方製薬、栃本天海堂)