消風散(しょうふうさん)は湿疹、募麻疹など皮膚疾患によく使用される漢方薬です。養血しつつ風湿熱を除去する効能があります。
消風散はほとんどの場合、皮膚の疾患に用います。
目次
消風散はどんな人に効果がある?
消風散は、若くて元気な人に適応が多く、貧血気味だったり、衰弱しているような人には利用しません。
湿疹はジクジクしていることが多く、かさぶたになるとかゆみが強く出る、かきむしると汁が出てさらに悪くなる等に使用されます。アトピー性皮膚炎に利用することが多い処方。
夏に悪化する湿疹で、ノドが渴き体表が熱っぽく感じていれば利用してみる。また、蕁麻疹でも地図状に赤く腫れているものに利用されます。
消風散はとても苦い処方です。エキス剤が服用できない場合には錠剤を利用します。
消風散は「風湿熱、風疹、湿疹」証を改善する処方です。
「風湿熱」は、風邪(ふうじゃ)と湿邪(しつじゃ)と熱邪(ねつじゃ)のことです。
風邪は痒みが強い、患部があちらこちらと移動しやすい(遊走性)、患部が拡大しやすい、などの特徴があります。風邪は自然界の風により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪で、風のように発病が急で、変化が多く、体表部(皮膚)や呼吸器を侵すことが多いです。
湿邪は自然界の湿気により生じる現象に似た症状を引き起こす病邪で、湿っぽく、症状の経過がゆっくりで、体内に停滞しやすくなります。水疱、滲出液などがみられやすいです。
熱邪は赤く火照る症状を言います。
漢方でいう「風疹」は、現代医学の蕁麻疹に相当します。この風疹や湿疹は、多くの場合、「風熱」や「湿熱」などが体内で勢力を増したときに現れます。それらの病邪が血脈に染み込み、調整が効かなくなり、皮膚に達し、皮疹を発生させるというメカニズムです。
従って皮疹の色は赤く(熱邪)、痒みが強く(風邪)、滲出液が多い(湿邪)。痒みは夜、強くなりやすいです。地図状に赤くなる場合も多いです。蓴麻疹や湿疹でも、白いものや、熱感がないものに消風散は効果がないといいます。
皮疹以外には、ほてりやロ渴も表れやすいです。舌は赤く、舌苔は熱邪の勢いにより、白い場合と黄色い場合があります。
ポイントは、痒みが強く(風邪)、湿ってじゅくじゅくした(湿邪)、赤い(熱邪)湿疼や蕁麻疹、という点。蓴麻疹やアトピー性皮膚炎であればどんな場合でも消風散が効く、というものではなく、痒みが強く、湿ってじゅくじゅくした赤い皮疹でないと効果はないといいます。
この漢方薬を使う主な症状
消風散は、皮膚疾患で、かゆみが強くて分泌物が多く、ときに局所の熱感があるようなの湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、白癬(水虫)、あせも、なかなか治らない湿疹で熱感があるもの、夏になると悪化する湿疹、あせも、白癬(水虫)などに使われる漢方薬です。
消風散を使う主な症状は風湿熱、風疹、湿疹の症候を現わす以下のようなものです。
蕁麻疹
湿疹
アトピ一性皮膚炎
皮膚掻痒症
あせも
汗泡
白癬(水虫)
その他各種湿疹や皮膚炎
消風散の処方
消風散の配合生薬は、
①荊芥
②防風
③牛蒡子
④蟬退
⑤蒼朮
⑥苦参
⑦石膏
⑧知母
⑨当帰
⑩地黄
⑪胡麻仁
⑫木通
⑬甘草
の十三味です。
消風散の君薬は荊芥、防風、牛蒡子、蟬退で、いずれも体の表面に存在する風邪を散らし(疏散そさん)、痒みを止める効果があります(疏風止痒)。牛蒡子と蟬退には清熱効果もあります(疏散風熱)。
臣薬は、蒼朮、苦参、木通です。蒼朮は風邪を除去し、湿邪を乾燥させて取り除く効果があります(祛風燥湿)。胃腸を守る働きもあります(健脾)。苦参は熱邪を冷まし、燥湿する効果があります(清熱燥湿)。疏風止痒効果もあります。木通も清熱燥湿し、湿熱を改善します。これら燥湿効果のある生薬の働きにより、湿邪を消退させます。
佐薬は、知母、石膏、当帰、地黄、胡麻仁です。知母と石膏には、熱邪(火邪)を冷ます働きがあります(清熱瀉火)。これにより、炎症による発赤や熱感を鎮めます。当帰、地黄、胡麻仁は、身体を滋養し(養血)、血流を調える効果があります(活血)。これにより、皮膚が養われ、潤います。皮疹が慢性化して皮膚が乾燥したり萎縮したりした場合(血虚)に効果を発揮します。
使薬の甘草は、それぞれの生薬の薬性を調和させつつ、化膿性の炎症など(熱毒)を除去します(清熱解毒)。
これら消風散の効能を「疏風養血、清熱除湿」といいます。
消風散の配合の特徴は、痒みを止める疏風止痒薬を中心に、清熱薬や除湿薬、養血薬が配合されている点です。この組み合わせにより、体質を強化しつつ、病邪を除去して、病気を根治していく効果があります(扶正祛邪)。
反対に考えると、消風散は風邪を除去し、熱邪や湿邪も排除し、さらに養血もしてくれるとう効果の多い処方です。つまり、疏風と除湿だけをしたくて養血はしたくない場合などには、いくら痒みが強い湿疹でも、消風散を使用しません。例えば、痒みが強いアトピー性皮膚炎に消風散を使った結果、養血薬が効果しすぎて皮膚炎の症状が悪化したということもあります。
消風散の服用中は、辛い物、生魚、たばこ、濃いお茶は、治療効果に悪影響を与えるので、控えましょう。
消風散の出典は『外科正宗』です。
消風散の体験談・口コミ
口コミ①蕁麻疹に悩んでいました
蕁麻疹に長年悩まされています。痒くて我慢できません。湿疹は赤く隆起して、特に入浴や飲酒後に悪化する傾向があります。
消風散を服用したところ、2力月で改善してきました。
口コミ②手荒れ、手の湿疹に消風散
手に湿疹があり、熱く感じます。指は赤く、ひび割れが多くあります。痒みを感じてかくと汁も出ます。
消風散の飲み始めて少しずつ状態が良くなり、半年で完治しました。
口コミ③あせもに消風散
夏になるとあせもに悩まされます。湿疹が酷く、ひどく痒みます。
消風散を飲むようにしたところ、あせもの症状、頻度が改善しました。
消風散を使った製品例一覧
散剤 | 消風散(料)エキス(クラシエ薬品、建林松鶴堂、ツムラ、松浦)、ホノミショウフン粒(剤盛堂薬品)、JPS漢方顆粒-23号(ジェーピーエス製薬)、消風散(料)エキス(一元製薬製薬、小太郎漢方製薬)、消風散ウチダ和漢薬) | |
錠剤・カプセル・丸 | 消風散料エキス錠(クラシエ薬品)、ホノミショウフン錠(剤盛堂薬品)、錠剤消風散(一元製薬) | |
湯薬 | 消風散(料)(タキザワ漢方廠、栃本天海堂) |